NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
Mt. Baseワイナリーに誘われて Part1
第199回コラム(Apr/2019)
Mt. Baseワイナリーに誘われて Part1
Text: 和田咲子/Sakiko Wada
和田咲子

著者紹介

和田咲子
Sakiko Wada

日本に住んでいた頃からヨーロッパワインは飲んでいたものの、1994年の渡航以来、先ずはニュージーランドワインの安くて美味しい事に魅せられ、その後再度オールドワールドやニューワールドワインに拡大してワインをappreciateしている。ただ消費するだけに終わらない様に必死にwine drinking culture の質を高めようと努力する毎日である。

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書き出しを考えていて、自分がワインにシリアスになって何年経つのだろうか、と思い返してみました。

シリアスさの度合いがだんだんと上がって来たので、最初の2年間ほどを入れるかどうかにも拠るのですが、約12~14年間はこのニュージーランドで入手可能なワインを中心に、ワインをしっかりと味わって飲もう、知識とそれから来るそのワインの裏にある馳せる事の出来る想いを含めてゆっくりと観賞しようという姿勢でワインに接してきたようです。そうする内にはすぐにワイン友達が出来て何度か書いてきた『ワイン・マジック』に依る繋がりが出来、一緒にテイスティング・パーティーを開いたり、どこかへ出かけて行ったり、様々なワインのある風景を共に過ごしてきました。そして今では幾つかのワイン・テイスティング・グループに属してしまっているのですが、その内幾つかのグループには何人かのワイン・インダストリー(ワイン業界)に携わっている友達が居ます。今回はその一人である、ニュージーランドは南島の北部に在るマールボロでこじんまりと、けれどもダイナミックに女性一人でワイナリーを経営している友人からのお誘いで、3度目となるマールボロ(Marlborough)に週末旅行で行って来た時のことを書こうと思います。

オークランドを舞台に毎月集まっているザ・ワイン・クラブ。今月はそのテイスティングの会場をマールボロへ移し、彼女のアレンジしてくれたワイナリー訪問や彼女のワイナリーでのテイスティングやBBQと言う、いわば月例会のフィールド・トリップ版になったと言う訳です。

みんな仕事やプライベートで忙しい中、何人集まるかなあと思いきや、2泊3日でオークランドを空ける事が出来たのは総勢7名。Pretty good!って感じですね。

一人がレンタカーを借りてくれたのでワイナリーカーと2台の車で丁度動きやすい人数でもありました。因みにマウント・ベース・ワイナリーのオーナーであるカースティー(Kirsty)は、ブドウの収穫期など忙しい時は若干マールボロに住む日が多くなり、オークランドにも住居があるので両方を行き来しているそうです。

先ず金曜日のお昼過ぎに私を含めた4人がマールボロ(Blenheim空港)に到着すると、カースティーが車でお迎えに来てくれていて、既にマールボロ入りしていた他のメンバーと共にヴィラマリアのマールボロへ直行しました。

ご存知のようにヴィラマリアは、オークランド空港の近くにあり素敵なレストランやテイスティング・ルームもあって、オークランドで収穫されたブドウやニュージーランドの他の地域から輸送されてきたブドウを使ってワインを作っていますが、ソーヴィニヨン・ブランなどをプロセスするために、マールボロにも大きなワイナリーを持っています。ヴィンヤード(ブドウ畑)に至っては、他のブドウ生産地域にも沢山畑を持っています。やはりワインはテロワールを重視しなければその地で出来た特徴を持ったワインが出来ませんものね。

ヴィラマリアは流石大規模だけあり、ラボラトリーや工場内の見学もハイビズ・ジャケットを着用して案内の担当者が一人付いてくれました。テイスティング・カウンターにて先ずは先に幾つかのワインのお味見をしたのですが、私はマールボロのセラー・ドアでしか購入できないと言うメソード・トラディショナル(発泡性でシャンパーニュと同じ製法で作られている)を1本持ち帰る事にしました。ピノ・ノワール35%、シャルドネ65%で軽い旨味のある味わいでした。

工場内を見学中に丁度ブドウを満載したトラックが帰って来て、破砕・除梗・圧搾マシンにザーっと入れる様は圧巻でした。

また、このワイナリーでは大きなステンレスタンクがいくつも並んでいましたが、その内幾つかは既に地震対策が施されたものになっているとの事で感心しました。写真で円柱状のタンクの周りにらせん状の模様が見えるものです。規模が大きくなればなるほどに万が一の場合の損失も考えて投資すべきものも増えるのですね。

ラボラトリーの中もじっくりと見学させて貰い、規模からすれば当然ですが可成り広くてゆったりとしたラボラトリーに3人ものスタッフが色々な化学検査をして品質を確かめていました。

様々なワインショーで賞を取っているヴィラマリア。どのワインも外れは無く、目的に合わせて特別な日の為にとっておけるワインも沢山あり、信頼のおけるニュージーランドのワインブランドでもありますが、今回の工場見学で改めてその底力を見た思いがしました。

1つのワイナリーで時間をたっぷり使いましたが、夕方になる前にカースティーのベースであるMt. Base Wineryへ向かいました。土地を購入してからブドウ畑も増やし、家もいろいろ工夫して建てている話を聞いていましたので、皆楽しみにしていたのです。

彼女の家には、私達のお気に入りになった、大きな樹からぶら下げた手作りハンモック。ファニチャーショップなどでパーツを買って作ったそうで、17年のソーヴィニヨン・ブランをゆったりと楽しみながらお喋りの時間となりました。

さて、私達の宿は彼女の友人でもある、ジャクソン・エステートの創設者でありワイン醸造かでもあったご夫婦のお宅となりましたが、最初の夜はそこでのディナーでした。

先ずはシャンパーニュを片手に長~い間喋って笑って、オーブンの中のお肉の焼け具合をチェックしたりお鍋の中の様子を見つつ、ディナーが出来る頃にはディナー・ルームへ移動。

それぞれがオークランドから持ち寄ったワインを順番に賞味し、ラムローストでお腹も心も満足してそのままそこで寝られると言う幸せを感じつつとてもリラックスした時間を過ごせました。

オンスイートのお部屋も素敵で各ワイナリーへも近いのでマールボロに行かれる際には良いベースとなるでしょう。こちらのお宅は Air B&B として登録されているので、予約すれば泊まれるお宿となっているそうです。

ぐっすりと寝た翌朝はカースティーが迎えに来てくれて、皆がマウント・ベース・ヴィンヤードに集合しての朝食。外のBBQで焼いてくれたマッシュルームや玉ねぎ入りのオムレツ、それにパンは目の前に広がるブドウ畑の景色と共に最高に美味しい思い出となりました。

そして、朝食の後はブドウ畑の中を皆でず~っと歩いて少しエクササイズをし、彼女が現在試行中の新しいプロジェクト(やっと公開可能となった情報なのですが、何と麻をブドウ畑に植えて、その香りが移ったブドウでのワインがどうなるか、というもの。その他、ハチミツ作りも見たりしながらワイナリーのブドウや木々の中での自然を満喫する時間も持てました。

次に向かったのはフォレスト・エステート。ここはドクター・ジョン・フォレストと奥様のドクター・ブリジット・フォレストが営む質の高いアロマティック系のワインでも有名なワイナリーです。

ドクター・フォレストは、カリフォルニアや南オーストラリアで医者として働いた後、故郷のマールボロに戻ってワイン作りを始めました。

オーナー夫婦の娘で現在はフォレストの主要スタッフでもあるベス・フォレストと共に、チーズ・プラターとのマッチング・テイスティングを行いました。セラー・ドアでの一般テイスティングでは出さないワインも試飲できたのと、何よりベスの話が楽しく時間はあっという間に過ぎてしまいました。

ベスによると、リンゴ園を購入した後ブドウを植えたのは1988年で、最初のヴィンテージが1990年だそうです。

植樹から初ヴィンテージまで2年というのは、なんだか早いタイミングだなぁとは思いましたが、既に昼食代わりとなったチーズやパテ、フルーツ・プラッター等と美味しいワインにありついており、質問もせずにモグモグしながら聞いていました。(私としたことが!)ただ、自分の娘の生まれ年が初ヴィンテージだとは頭に刻み込みましたが。

さて今回のマールボロの旅はまだまだ続きますが、長くなってきたので続きは次回続編にお楽しみという事に致します。(つづく)

2019年5月掲載
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