NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第21回コラム(Dec/2005)
カスク・ワイン(箱ワイン)の真実
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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いろいろなラベルが付いたボトル・ワインが陳列されているワインコーナーの隅っこの方に、四角い箱が並んでいるのを見たことはありませんか。それがカスク・ワインです。これは、箱に入ったワインで、バッグ・イン・ボックスなどとも呼ばれています。3,000mlや5,000ml入りのこのカスク・ワインは、750ml入りの一般的なボトル・ワインに比べて大容量の割に、値段が10~25ドル(800~2,000円)程度と、実にリーズナブル。これを一晩で飲み干して、パーティー騒ぎする若者もいれば、チビチビやりながら料理にも使う、キッチンドリンカーもいるようです。

いつもはボトル・ワインしか買わない私も、赤のカスク・ワインをひとつ買ってみました。料理にワインをたくさん使う我が家では、ボトル・ワインを使ってしまうともったいなく感じていたからです。使ってみると、こりゃ、便利。カップ3~4杯必要とするキャセロールを作るのも、惜しみなくワインを使うことができます。仕上がった料理も、ケチらずに使ったせいか、ワインに甘みがあるせいか、いつもよりも美味しく感じるではありませんか。

このカスク・ワインを買って帰ったその日、フラットメイト(同居人)に、「あら、カスク・ワインなんか、あなた飲まないでしょ?」と言われ、「料理用に買った」と答える私に、「やっぱりね」のひと言。ニュージーランドでは、カスク・ワインは飲料用よりはむしろ料理用、高級ワインよりはむしろ低級ワイン、と考える人が多いのです。

そもそもカスク・ワインとは何なのか、カスク・ワインの真実をご紹介したいと思います。

しかしながら、カスク・ワインには以下のような欠点があります。

私がニュージーランド最大手の某ワインメーカーに研修で出かけ、ワイン造りに携わった時に知ったのですが、カスク・ワイン用には、非常にお粗末な材料が使われていること、味をごまかすための砂糖がたっぷり添加されていること、更にボトル・ワインには通常加えられない添加物も入っているということです。

元々、カスク・ワインにはあまり興味がありませんでしたが、この日を境に、カスク・ワインを嫌悪するようになってしまっていました。

今でも、料理用として用いるだけですが、実は、カスク・ワインの常識が変わりつつあるのです。

アメリカでは今、カスク・ワインが大ブーム。これまでのような、低級ワインではなく、高品質のヴァラ・エタルワインやブレンド・ワインをカスクに入れて売られているのだとか。伝統を重んじるヨーロッパでは、こんなブームは起こりそうにもありませんが、さすがアメリカ、新しい国は、新しいアイディアを受け入れやすいのでしょう。新しい国、ニュージーランドでもこの動きがいつか伝播してくるかもしれません。そうしたら、カスク・ワインを毛嫌いすることなく、飲料用として利用する人も増えることでしょう。

2006年1月掲載
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