NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第12回コラム(Apr/2005)
NZでおなじみのブドウ品種・その3
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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先日、友人がすすめてくれたワインショップで掘り出し物「フロム・ラ・ストラーダ・ピノ・ノワール2001」と「テ・マタ・コロレイン・カベルネ/メルロー1998」をみつけた。両方ともニュージーランドのスーパー・プレミアム・赤ワインとも呼べるような代物。しかも最高のヴィンテージだ。

私の働くワインショップは回転が速く、こういった優れたヴィンテージのワインはあっという間に売れてしまい、新旧交代が激しい。だからお宝ワインを求めて時々郊外の酒屋に行く。すると大抵2~3本のいいワインに出会える。特に年代モノの赤ワインに。

私は個人的に、白も好きだが、赤ワインの方を頻繁に賞味する。世に知られているように、ニュージーランドはどちらかと言えば白ワインの国だ。白64%、赤36%の割合で造られているうえに、輸出されるワインの80%は白ワインなのだから。でもだからと言って、ニュージーランドが赤ワイン造りに適していない国だとか、ニュージーランドの赤ワインはあまり美味しくないとか、そういうわけでは全くない。それどころか、生産量が少ないからこそ、品質管理が行き届くし、希少価値も高い。そして何より、美味しいワインが実に多い。

今回は特に、赤ワイン用の品種としては生産量1位を誇り、国外でも賞賛、珍重されているピノ・ノワール(以下ピノ)に焦点を当てたいと思う。

ニュージーランドでのピノの生産量は、全体の約17%で、ソーヴィニョンとシャルドネに次いで3番目にたくさん栽培されている。母国フランスのブルゴーニュではエレガントで力強く、シルクのようなスムーズな赤ワインとなり、同国シャンパーニュではシャンパンの原料として重要な役割を果たしていることからも分かるように、ピノには2つの顔がある。ニュージーランドでも同様に、ヴァラエタル・ワインとスパークリングワインに用いられているが、前者のほうが主流だ。

赤ワイン用の品種としては珍しく、冷涼な気候を好むため、北島の南部(マーティンボローetc.)と南島の各産地(セントラル・オタゴ、ワイパラ、マールボロetc.)にヴィンヤードが集中している。ワイン識者の中には、ニュージーランドを「南半球のブルゴーニュ」と表現するほど、ピノの栽培にとても適した国なのだ。果皮は薄く、密集した房なので、ヴィンヤードでまめに手入れをしてあげなければ、病気や害虫にかかりやすいデリケートな品種でもある。

仕上がったワインの特徴としては、さくらんぼやいちご、ラズベリー、プラムなどのフルーティーな香りが特徴的で、マッシュルームや土、スパイスなどの複雑な香りが、熟成することで形成されていく。なめらかな飲み口で、ほかの赤ワイン用の品種に比べて渋みが少ないため、赤ワイン初心者にも飲みやすいワインが造りやすいのも特徴的だ。

ワイン単独で飲んでも美味しいが、ライトからミディアム・ボディには、脂のたっぷりのった刺身(トロ、サーモン、ハマチ)やローストチキン、フル・ボディにはラム肉料理、ステーキ、うなぎの蒲焼などとの相性も良い。

2005年5月掲載
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