NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第10回コラム(Feb/2005)
NZでおなじみのブドウ品種・その2
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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先日、日本から来た友人を連れて、西オークランドにあるクーパーズ・クリーク・ヴィンヤード(Coopers Creek Vineyard)に行ってきた。毎年1月から3月までの夏の時期、このワイナリーでは週末のライブ・ジャズが催されている。ワイナリーの中庭に設営された臨時ステージでは、セミプロのグループがジャズ・ミュージックを陽気に演奏し、その周りに間隔を置いて散在するテーブルと椅子を確保した一般客たちは、セラー・ドアーで購入したお気に入りのワインを持って、ウィークエンド・ピクニックが始まる。プラッターをワイナリーでオーダーしても良し、早起きして作ったおにぎりやサンドウィッチ、鶏のから揚げやだし巻き玉子などを持参しても良し。持ち込み料金を取らないのがまた嬉しい。陽気な、時にはメロウなジャズに耳を傾け、うまいワインに舌鼓を打つ。どちらもゆったりとした雰囲気の中で時間を忘れて楽しめるものなので、実に相性がいい。こんな風に、ジャズとワインに耽るのも、オークランドの暑い夏の過ごし方としては、なかなか粋ではないか。私たちも数種類のワインを試飲したあと、気に入った白ワイン(Coopers Creek Marlborough Sauvignon Blanc 2004)を1本購入し、ジャズを楽しむことにした。ニュージーランド三大ワインコンペのひとつ、「リカーランド・トップ100」で金賞を受賞したこのワインは、ニュージーランドのソーヴィニョン(ブラン)特有のフルーティーなアロマ、辛口でキレのある飲み口が印象的だった。

ニュージーランドとソーヴィニョンは、切っても切れない関係。今回はこの品種について説明したいと思う。ソーヴィニョンは白ワイン用のブドウで、ニュージーランドで最もたくさん生産されている品種だ(2003年の収穫量は全体の約34%)。フランスのロワール・ヴァレーとボルドー原産の品種で、有名なフランス辛口ワイン「グラーヴズ」や甘口の「ソーテルヌ」などの原料として使われている。ニュージーランド産のこの品種のワインは、マールボロなどの涼しい地域だと、グズベリー、ライム、青草などの香りが、ホークス・ベイなどの暖かい地域だと、パッションフルーツやマンゴなどの熟したトロピカルフルーツの香りが顕著となる。このワインのフレッシュな香りは、ヴィンテージが新しいものほどよく現れている。そして、キレのある辛口に仕上がっているものが多いのも特徴だ。ニュージーランドワインを世界に知らしめた代表的なワインでもあり、各国のワインコンペで数々の賞を受賞している。ほかの国のソーヴィニョンには出せないインパクトの強いフルーティーな香りと、リリースしてすぐに飲める(瓶熟成の必要がない)ハンディーさから、世界中のワイン・ドリンカーの間では、とても人気が高く、「ニュージーランドワインと言えばソーヴィニョン」という考え方が浸透しているほどだ。今夜のメニューが、寿司か刺身、ヤキトリかローストチキン、マヨネーズを使ったサラダか、アツアツのグラタンだったら、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランをお供に是非どうぞ。

2005年3月掲載
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