NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第15回コラム(Jul/2005)
ホークス・ベイのホットな赤ワイン
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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同僚のジュリアンと、ホークス・ベイの赤ワイン醸造家たちによる、ワインのテイスティング会『ホット・レッド・ロード・ショー』に参加した。この会では、北島の東海岸にあるワイン産地であるホークス・ベイから、23の赤ワイン生産者がオークランドに集まり、合計86種類の赤ワインの試飲が行われた。

全部試飲したいところだったが、ワインショップからの派遣だったため、2時間という短い時間しかもらえず、9つのワイン・カンパニー、26種のワインだけにとどまった。はるばるやってきた醸造家や関係者の話に耳を傾けながら試飲をし、質問などをしていると、時間はあっという間に過ぎていくものだ。

中でも忘れられないほど美味しいと感じたワインは、『クラギー・レンジ・ソフィア 2002』『ユニソン・セレクション 2002』『クリアビュー・オールド・オリーヴ・ブロック 2003』だった。

このホークス・ベイ - ニュージーランドで2番目に大きいワイン産地では、リッチで芳醇なシャルドネやソフトで飲みやすいソーヴィニヨン・ブランなどの白ワインのほかに、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、シラー(シラーズ)などの赤ワイン用品主を多く生産し、それらで造られたリッチな赤ワインのクオリティーは、世界的にも評価されてきている。現在登録されているワイン・カンパニーは56件。太平洋に面したこの産地は、2つの平野、3つの河川、起伏のある丘陵地、そして強風を遮る険しい山脈に囲まれ、空気や水が澄んだ、とても美しい場所だ。この変化に富む地形から、先に記した品種意外にも様々な品種が栽培されている。

これは、フランスの概念、テロワーとワインを保護し、市場を確保しようとする現代の考え方に基づいて、1980年代に正式に指定された称号。国際的にも認められているこの称号は、フランスのアペラシオンにあたるもので、厳しい条件を満たした土壌を保有する土地だけが指定されている。ギムレット・グラヴェルズのロゴが目印。

この地区の土壌はフランス、ボルドーと同様、石の多い砂利質。熱伝導性が良く、水はけも良いので、ブドウの木を暖かくドライに保つことができる。すなわち、赤ワイン用のブドウを熟させ、赤色を濃く、フル・ボディーのワインを生み出すことが出来るのだ。ボルドー・スタイルの赤ワインを探している方には、ギムレット・グラヴェルズのロゴを目印に購入されることをお勧めしたい。

『ホット・レッド・ロード・ショー』の帰り道、美味しい赤ワインを試飲して(飲んで?)幸せそうにニカッと笑ったジュリアンの白い歯の間は、赤ワインの色素で真っ黒になっていた。きっと私の歯も黒かったに違いない。

2005年8月掲載
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