NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第7回コラム(Nov/2004)
ワイン・フェスティバルに行こう
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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11月に入り、ニュージーランドはますます夏のような陽気になってきた。暖かい季節のお楽しみといえば、ビーチや公園の芝生でピクニック、あるいはわが家や友達宅の裏庭で行うバーベキュー。そしてもちろん、片手には美味しいワイン♪。春と夏は(たぶん秋も)、そんなアウトドア・パーティーの季節でもある。そして、このアウトドア・パーティーの規模を大きくしたものが、ワイン・フェスティバルだ。

ニュージーランドでは、全国のワイン産地でワイン・フェスティバルが毎年行われている。ワインだけでなく、地元の新鮮な食材で作られた料理も楽しめるとあって、ワイン好きや美食家たち、そして、単純にお祭りを楽しみたい人たちが大勢集まるイベントだ。ほとんどのフェスティバルが夏真っ盛りの1月と2月に集中して行われるが、春先に行われるものもある。そのひとつ、10月24日に行われた「ギズボーン・ワイン&フード・フェスティバル」に、私も参加してきた。ギズボーンは北島東海岸に位置する小さな街。世界で最初に朝日が見られる街であり、きれいな海岸線に恵まれ、サーフポイントのたくさんある場所である。そして、ニュージーランドで3番目に大きいワイン用ブドウの産地としても有名な街だ。人口約44,000人のこの小さな街は、普段から時間がゆっくりと流れ、知らない人とも目が合えば挨拶を交わす、とてもすてきな田舎町でもある。毎年恒例のこのお祭りは、一年のなかでギズボーンが一番賑わう日。3,500枚のチケットは、8月中旬には既に完売してしまう。当日はニュージーランド国内外からのワイン好きがどっと押し寄せ、どの宿泊施設もほぼ満室だった。参加者たちは、7つに分かれたヴェニュー(開催地)をシャトルバスで巡ることができる。各ヴェニューには、1~10件のワイナリーがテントやブースを設営していて、その下でワインが販売されるのだ。フェスティバル直前に配られる、専用ワイングラスを首からさげた参加者たちは、75ml(2~5ドル)、150ml(4~10ドル)のテイスティングを楽しみ、気に入ったものを見つけたらボトル一本(15~30ドル)を購入する。さまざまな露店が立ち並び、目の前で次々に手作りされてゆく料理はバラエティーに富んでいて、どれも魅力的な香りを漂わせている。スモークサーモンかマッスル(ムール貝)、チーズの盛り合わせかサンドウィッチ、ローストビーフかローストポーク、それともフィッシュ&チップスの気分かな?また、食だけでなく、音を楽しむこともできる。マオリの伝統的な音楽からジャズ、ポップス、クラブ系の音楽まで、それぞれのヴェニューで違ったカラーの音楽がライブ演奏され、手に持ったワインと一緒に皆の体は揺れている。天気にも恵まれたこの日の昼どきには、屋外のテーブルや芝生は、おしゃべりとワイン、ランチに興じる人々であふれていた。美味しいシーフードとお気に入りのワインを見つけた私も、ちょっぴりまぶしい太陽の下、丁寧に刈られた芝生に腰を下ろしてくつろいだ。太陽の光をうけて新緑の葉は美しく輝き、その下で味わう冷えたミルトン・ヴィンヤードの辛口ロゼは、フルーティーなピーチの香りとキレのいい後味で、とても美味しかった。さあ、あなたも、これから夏にかけてニュージーランド各地で開催されるワイン・フェスティバルに、是非でかけてみては?

2004年12月掲載
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