NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第27回コラム(Jun/2006)
NZのプレミアム・レッド、ピノ・ノワール
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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2006年、ピノ・ノワールがシャルドネの産量を上回り、ソーヴィニヨン・ブランに次ぐ、ニュージーランドで2番目に多く作られているブドウ品種となりました。ヴィンヤード面積は、劇的に広がっていて、過去6年間で3.3倍の伸びを見せています(2000年の1126ヘクタールから、2006年の3754ヘクタールへ)。

フランス、ブルゴーニュをホームグランドとする王子的存在の品種、ピノ・ノワールは、パワフル且つエレガント、シルクやベルベットのような滑らかなテクスチャー、口中で見事に広がるチェリーやフルーツケーキ、スパイスやプラムなどの風味を放つ、とても魅力的で芳醇なワインになります。

果実の特徴としては、皮が薄く適度な色素を持ち、タンニン(渋みの成分)は少なめ、比較的高い酸味。赤ワインの中で最も繊細な特性を持つため、土壌や気候にとても影響を受け易いので、その土地の特徴、テロワールを最も表現できる品種とされています。

栽培面では、1.発芽が早いため、春の遅霜の影響を受け易い、2.果房が密集しているので腐敗しやすいというデメリットがあります。とてもデリケートで栽培が難しいブドウなので、多くの生産者たちが失敗し、挫折感を味わってきました。そのため、「最も気難しいブドウ品種」という汚名を持っているほどです。

また、繊細なだけに、醸造過程で過剰な作業が行われた場合(強すぎる樽香、過剰な色素やタンニンの抽出など)、ダマシやゴマカシが効かない品種でもあるのです。

そんな気難し屋のピノ・ノワールの栽培に、ニュージーランドは成功してきました。それは、他の赤ワイン用品種に比べて果実が完熟するのが早いという特性が、ニュージーランドの冷涼気候に適切に働いたからなのです。また、セントラル・オタゴやワイパラといった、新興ワイン産地に、ブドウ生長期間中の気温差(朝、夕は涼しく、昼間は暑い)があり、個性のはっきりしたピノ・ノワールを育むのにふさわしい好条件だったことも、ニュージーランドピノ・ノワールの成功に結び付けました。

代表的な産地として、マーティンボロー、セントラル・オタゴ、マールボロ、ワイパラなどがあります。さまざまな産地のピノ・ノワール試してみて、その違いを比べるのも、ワインの楽しみ方の一つですね。

2006年7月掲載
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