NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第89回コラム(Feb/2010)
コアなニュージーランドワイン ザ・変り種 その6 トレンドよりポリシー!なワイナリー前半
Text: 鈴木一平/Ippei Suzuki
鈴木一平

著者紹介

鈴木一平
Ippei Suzuki

静岡県出身。大阪で主にバーテンダーとして様々な飲食業界でワインに関わったのち、ニュージーランドで栽培・醸造学を履修。卒業後はカリフォルニアのカーネロス、オーストラリアのタスマニア、山形、ホークス・ベイ、フランスのサンセールのワイナリーで経験を積む。現在はワイン・スクールの輸入販売チーム、また講師として、ニュージーランド・ワインの輸入及び普及に関わる。ワイナリー巡りをライフワークとし、訪れたワイナリーの数は世界のべ400以上にのぼる。

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さて今回は、コアなワイン、ではなくワイナリー自体が稀少な、Mazuran’s Vineyard/マズランズ・ヴィンヤードの紹介です。オークランドからもアクセスしやすい場所にある、特に話題になることもないこのワイナリー。一体何がコアなのか。それはここが、Fortified Wine/フォーティファインド・ワインに特化したワイナリーだからなのです。

話がそれていると思われたかもしれませんが、本題に戻ると例えば、発酵“最中”に高濃度アルコールを足すことによって作為的に酵母の働き、つまり発酵を人為的に停止し果実由来の糖分を残したワインがポートです。普通のワインは大体9~14%くらいですが、このワインのアルコール度数は大体18%以上です。実際には現在、技術でアルコール度数がこれ以上の酒精強化されてない“ワイン”をつくることは可能で、中には超超高価なものもありますが、どれもPorty(ポートっぽい)なものばかりで、どうもその境界線は近づくようです。

さて、よくひとくくりにされてしまうシェリーはというと、実は全く似ても似つかないもので、基本的には産膜酵母の働きにより意図的に酸化と化学変化を経たワインを、ポートと違い主発酵終了後にアルコール添加したものです。シェリーやポートと一口に言ってもそれぞれに非常に個性的な様々なタイプや製法があり、ここで全てを説明することは残念ながらできません。ポート、シェリーともに本場を離れ世界中で同じ製法で作られるようになり、いまやどこでもポート、シェリーの名前で親しまれています。しかし使われるブドウ品種は本場と違うものも多く、個性豊かでおもしろいものが各国でつくられています。

<<次号に続く>>

2010年3月掲載
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