NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第9回コラム(Jan/2005)
NZでおなじみのブドウ品種・その1
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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年末年始の休暇を利用して、私は友人のアンディーを訪ねた。ワイン醸造学の学校でクラスメートだった彼は、卒業した後、ギズボーンでヴィンヤードを購入し、日々ブドウ栽培とワイン造りに精を出している。10月の終わりに訪れたときは、まだ花も咲かせていなかったブドウの木たちが、今回は健康な房をたわわに実らせていた。後二ヵ月半もすれば収穫となる。ワクワクだ。ニュージーランドで3番目に大きなワイン用ブドウの産地であるギズボーンで、主に栽培されているのはシャルドネだ。全ヴィンヤード面積の半分以上がこの品種で占められているほど。アンディーの畑でもやはり、たくさんのシャルドネが育てられていた。

「ところで、シャルドネってどんな品種なの?」そんな質問にお応えして、少し講釈したいと思う。シャルドネは、ニュージーランドで2番目にたくさん栽培されていて(全ブドウ畑面積の約30%)、すべての産地で栽培されているが、主にマールボロとギズボーン、そしてホークス・ベイにヴィンヤードが集中している。原産はフランスのブルゴーニュ地方。有名なワイン、「シャブリ」や「ムルソー」などの原料に使われているブドウがシャルドネなのである。さまざまな気候や土壌に上手く順応できる性質を持っている上、辛口のものから甘口のもの、さらにスパークリングワイン(シャンパン)の原料としても用いられるという、その用途の広さから、シャルドネは世界中のワイン用ブドウ生産者が得意とする品種なのだ(涼しいイギリスから、暑いインドまで)。ワインの特徴としては、樽を使って造られるものは、ソフトでまろやか、熟した桃やメロン、ネクタリンの香りと味が魅力的となり、一方、樽を使用しないで造られるのは、りんご、ライム、白桃の香りと味といった輪郭のはっきりした、キレのある味が特徴的だ。これらをブレンドしていることが多く、仕上がりはその割合によって決まる。樽を使用したメロウなワインとだったら、ツナマヨネーズの巻寿司、アサリの酒蒸し、クリームソース系のパスタ、天ぷらなどと。樽をあまり使っていないシャルドネとだったら、スモークサーモン、鯵のタタキ、鶏の照り焼きなどとの相性がとても良いので、お試しあれ。

2005年2月掲載
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