NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
韓国料理とニュージーランドワイン?
NEW! 第240回コラム(May/2025)
韓国料理とニュージーランドワイン?
Text: 堀内亜矢子/Ayako Horiuchi
堀内亜矢子

著者紹介

堀内亜矢子
Ayako Horiuchi

幼少期から高校までブラジルで育つ。
アメリカの大学を卒業後、日本へ帰国しファッションブランドへ就職。 のち、IT企業にて長年マーケティング業に従事。
家族の仕事に伴い再度渡米し、ITマーケターから料理研究家へ転身(サンフランシスコのル・コルドン・ブルー卒業後、ミシュランスターシェフ Michael Chiarelloに師事、その後自身の料理教室を主宰)。
再度日本へ帰国後キッチン・インテリア業界を経て、NZ winelover創業。 船舶免許、調理師免許、J.S.Aワインエキスパートなど「船を出し釣って→捌いて料理して→飲む!」をしたいがゆえの免許はひととおり保有。

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“合わない”という思い込みを、覆してみた夜
「韓国料理とワインのペアリングって、どう思いますか?」
そんなお声がけをくださったのは、高輪のプライベートダイニング Maho's Table を主宰する真帆さん。国籍やジャンルにとらわれず、自由な発想で料理とお酒を楽しむことを提案されていて、今回のテーマはなんと“韓国料理 × ニュージーランドワイン”。一見ミスマッチにも思えるこの組み合わせに、少しチャレンジングかもしれないと思いつつ「ぜひ、やりましょう!」とお応えしました。
2日間に渡る競演の幕開けです。

ところで、韓国料理とワインの相性については、「あまり良くないのでは・・・」と言われることが少なくありません。理由はいくつかあって、たとえばコチュジャンやニンニク、発酵系の調味料を多用した料理が多く、味付けが濃厚で複雑なため、繊細なワインの風味が負けてしまうことがあるから。
特に辛味や甘辛味が強い料理は、ワインとのバランスを取るのが難しいとされています。

でも、ご提案されたお料理を軸にしっかりとワイン構成を考え、実際に合わせてみると——
ニュージーランドワインの“しなやかさ”と“懐の深さ”に驚かされるばかりでした。

お客様にお出ししたのは、韓国のいわゆる定番と云われるメニューやひねりの効いた全8品のコース料理。それぞれに合わせたワインが、想像以上に料理と寄り添い、響き合ってくれたのです。


ペアリングしたお料理とワインはこちら:

1. チョレギサラダとナムル × ミミ ピンク メトードトラディショネル NV
フレッシュな野菜と胡麻油の香りに、細かく立ちのぼる泡が爽やかに寄り添います。

2. チャプチェ × サマーハウス マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン
甘みと旨味のある春雨に、ソーヴィニヨンブランの青さと酸がすっと重なり、全体を軽やかに。

3. チヂミ × アラン・スコット リースリング
香ばしい生地と具材に、リースリングのほのかな甘みと酸がちょうどいい橋渡しに。

4. ポッサム × ノヴム マールボロ シャルドネ
とろりとした豚肉の旨味と、樽香を感じるシャルドネのふくらみがリッチに調和。

5. 参鶏湯 × サイフリード ネルソン ゲヴュルツトラミネール
ハーブの香りとピリッとした胡椒が効いた滋味深い鶏に、ゲヴュルツトラミネールのスパイス感とライチのニュアンスが重なって、異国情緒あふれる仕上がりに。

6. ナクチポックン × シャングリラ ピノ・ノワール
しっかりと辛く味付けした炒めダコに、しっかりとしたテクスチャーのピノが絶妙なバランス。

7. ヤンニョムチキン × アルファドームス コレクション メルロー・カベルネ
甘辛チキンのパンチの強さに、果実味とタンニンがしっかりある赤がしっかりとマリアージュ。

8. 小豆のホットク いちご添え × アルファドームス ザ・パイロットレオナーダ レイトハーベスト
優しい甘さの小豆といちごの酸味、それにセミヨンのとろける甘みが重なって、最後に至福の時を演出。

 


ワインと料理のペアリングは、正解があるようでいて、実はとても自由なもの。
今回のペアリングを経て改めて感じたのは、「ペアリングって、もっと自由でいいよね!」ということ。
このお料理にはコレ、あっちのお料理にはソレ、といったある程度のセオリーはあるけれど、色々と試しながらベストを選んでいく、そんなプロセスをあれこれと自由に楽しむことが重要だな、と感じました。

特にニュージーランドのワインは、果実味がピュアで、酸の質もキレイだからこそ、こうした“ひとクセある”料理にもすっとなじんでくれるのかもしれません。

そして、それ以上に感動を覚えるのは、そもそもニュージーランドのワインはソーヴィニヨン・ブランピノ・ノワールだけが語られがちですが、シャルドネを始めリースリングやゲヴュルツ、メルロー・カベルネにセミヨンまで、実はいろんな品種が揃っていて、料理の個性に合わせて多彩なアプローチができる、その懐の深さがあること。

もし、少しでもニュージーランドワインに興味を持った方がいたら、まずは気軽に一皿と一杯から試してみて欲しいな、と思います。

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