NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
ネルソンのワイナリー第二章
第205回コラム(Feb/2020)
ネルソンのワイナリー第二章
Text: 小倉絵美/Emi Ogura
小倉絵美

著者紹介

小倉絵美
Emi Ogura

大学卒業後に就職した会社がワインのインポーターだったという偶然からワインが大好きに。以降ワインの世界にどっぷりとはまること十数年。ワーホリで行ったカナダのワイナリーで1年間働いた際にワイン造りに興味を覚える。ニュージーランドワインは以前から大好きでワイナリー巡りを目的に過去に3度来たこともあり、2014年にリンカーン大学でブドウ栽培・ワイン醸造学を修める。2015年の2月からクライストチャーチ郊外にあるワイナリーでセラー・ハンドとして勤務。趣味はワインを飲むことと美味しいものを食べること。そして旅行。

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はSunny Nelsonと呼ばれていて一年を通して日照量の多い地域で果樹園の多い地域です。私はそれを「温かい場所なんだ」と思いこんでいて夏の涼しさにビックリしていますが…暑い日も28度を超える事はなく平均で23度くらいの毎日。でもこれが他の南島より長く続くのでブドウはゆっくりと成長して行き、美味しいワインが出来るんです。(ちなみに以前住んでいたクライストチャーチは35度の日も度々あり暑いのですが朝晩がグッと冷え込むのでも良いワインが出来ます。)

前回のコラムでを数件ご紹介しましたが、あの時はほとんどのを開けていない時期。ようやく夏になり小さいも観光客のためにを開けてを楽しめます。2月のとある天気の良い日に友人と巡りをしてきました。

今回行ったのはHope(ホープ)からBrightwater(ブライトウォーター)と言う地域にかけてあるの市内からだと車で15分から20分程度。地図で言うとホープはRichmondとブライトウォーターの間にあります。

1件目はブライトウォーターでもかなり奥の方にあるFalcon Ridge Estate。と言っても倉庫のガレージを簡易的ににしている程の小さい。ワインはBrightwaterにある中規模ので委託醸造してもらっているそうです。造っているのはソーヴィニヨン・ブラン、、シラー、そして。ソーヴィニヨン・ブランは何と2015年で熟成感のあるニュージーランドでも珍しいタイプ。の人曰く、『ソーヴィニヨン・ブランは熟成しないと思っている人が多いけどそうじゃない』と言うことを証明したかったそう。

なソーヴィニヨン・ブランに飲みなれた友人は『ん?』とビックリしていましたが、個人的には落ち着いたソーヴィニヨン・ブランは好きでこれはチーズに合わせてゆっくりと飲みたかったです。そして南島、いやでは珍しいシラー。では数件のがシラーを造っていてそのレベルの高さに驚かされますが、このシラーもなかなか。もちろん果実味爆弾の…シラーではなく綺麗なのしっかりとあるシラー。に行くと珍しい品種などがあると購入してしまう私ですが今回はお値段を見て躊躇してしまいました(笑)

そして次はホープにあるMiddle Earth Vineyardへ。ここのは前回紹介したKahurangi(カフランギ)とここの両方のをマーケティングしているTasteology(テイスティオロジー)が運営していて、テイスティオロジーはTesting()とOlogy(〇〇学)を掛けた造語で「学」と言う意味です。

ここのも新しく、ここのはMiddle Earthと言うラベルとエントリーレベルのBrightwater Gravelと言うシリーズを造っています。ソーヴィニヨン・ブランはニュージーランドらしいトロピカルなタイプ。ただのと違うところはあのハーブやグラス(芝)のような青っぽさはありません。そしてビックリしたのは恐らく何軒もニュージーランドのを回った中でも初めて出会ったのでは無いでしょうか?ピノムニエを造っていました。ちょっとラベルを見た時から興奮(笑)ピノムニエ100%のなんて飲んだ事ないぞ?と思いながらしてみると雰囲気はやっぱりがあって果実もやっぱり赤系の果実味。でも少し腐葉土とかの雰囲気が早くから出てくるのか少し軽め。でもも優しいので若くから楽しめそうなタイプでした。

そして、目を引いたのが缶入りのスパークリングワイン!と言ってもBBQやピクニックに持っていけるように発売されているのでとかそんな難しいものではありません。ワインはBrightwater Gravelと同じものに炭酸を注入しているそうです。ロゼが少し甘みと果実味があって美味しかったのでつい買ってしまいました。でものおじさんに『これ1缶でワイン半分の容量があるから気を付けてね~』と釘を刺されてしまいました。

そして、お次は同じホープにあるBrightwater Vineyardsへ。ここも小さいながらもこの場所でワインも造っているそうです。この辺りの収穫は3月末から4月。ブドウはまだらにが始まっていて、白ブドウもかなり大きくなっていたので少しつまんでみましたが…もちろん酸っぱくて硬い、で食べられませんでした。

ここはソーヴィニヨン・ブラン、、そして少量のを造っていて、中でもが飛びぬけて美味しかったです。を飲んで思うのは(あくまでも個人的な意見ですが)あのにある、甘いくらいに感じるアプリコットやマンゴのような果実味とアルコールの高さからくる厚みのあるようなタイプではなく、ドライで果実味も少し青い桃や洋ナシを感じるタイプで個人的には好きなです。もここのは樽感も控えめで綺麗な酸とミネラル感を感じるものでした。

のお兄さんはイギリス人で普段はシェフとしてレストランで働いていてワイン好きが高じてでバイトをしているそうで何と奥様は日本人だそう。余談ですがは意外と住んでいる日本人多いんです。

 

最後は同じくホープにあるGreenhough Wineへ。実はここのは以前日本で営業をやっていた某輸入商社が輸入しているで前々から行きたいと思っていました。日本で飲んで印象に残っていたのはドライ・。リンカーン大学で勉強している時もで出てきたのですが、のかなりレベルくて好きとしては楽しみにしていました。に到着するととても人懐こい看板犬がお出迎え。『Winery Dog』と言う写真集にも掲載されている人気者(笑)。さて、お待ちかねのですが、なんとドライ・は日本にほとんど輸出しているため売り切れ…。オフドライのも美味しかったのですが、ドライの方がミネラル感や、そしてあのレモンなどの柑橘系の果実味がストレートに味わえて良かったです。も個人的に好みな味わい。果実味が溢れる、しっかりとしたが、と言うようなフルのスタイルではありませんが、チーズとかをあてにしっぽり飲みたい落ち着いたスタイルでした。

今回紹介したはニュージーランドに6年住んでいて初めて訪問したところばかりで、新たな発見があり楽しくもあり勉強にもなりました。ちなみに、夏にワインをどうやって楽しむか…それは『ピクニック』です!ニュージーランドでは夏を思いっきり楽しむので色んなイベントが各地で開催されます。この訪問の後に行ったのが、『Opera in the Park』と言って文字通り公園でオペラを楽しむのですが、オペラは7時半スタート、開場は5時半。ほとんどの人がワインやビール、おつまみなどを持参して5時半に芝生の上に座って夏の夕方を楽しんでいました。屋台も何軒か出ていて中の人が集まったのではないかと思うほどの大混雑でした。他にはビーチでの音楽フェスで同じようにピクニックを楽しんだり、BBQを楽しんだりと、とにかくニュージーランドの人は夏をワイン片手に楽しむのでした。

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